オバマ広島に

本日アメリカ大統領が広島を訪問しています。すべてはE=mc2から始まったと言われていますが、いわば、このアインシュタインの成果が応用された結果、リトルボーイが日本に投下されたわけです。

 わたしはここ数年『沈黙の春』を三回生の学生と一緒に読んでいますが、雑誌「ニューヨーカー」にカーソンの、この、いわば告発書が掲載され始めた1962年、ベトナム戦争においてエイジェント・オレンジが使用されていました。イリノイ大学大学院生であったアーサー・ガルストンが1943年学位論文において報告した内容が、軍事関係者に利用され枯葉剤が作り出されていたのです。このことを知った植物生理学者ガルストンの長年の努力によって、ようやく枯葉剤の段階的使用中止が決定されたのは1970年のことでした。

 科学研究においてもっともクリティカルな問題は、このように、その研究成果が世界に与える影響であると感じています。しかし、これは科学者だけでは、どうにもならない問題です。まずは、わたしたちは「信頼される研究活動」を心がけなくてはなりません。